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Checkpoint Charlie (1964)

きな臭い米英仏。CPとかそんなんは全然ありません。
見ようによっては仏→じゃがいも兄弟かもしれない。
気持ち的には隣国としての心配の範囲なんです。

とりあえずチェックポイントCでの話が書けて満足!

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 太い通りが真っ直ぐと続き、両側にはせいぜい五階程度の建物が連なり、視界は開けている。二人が立つのは数年前まで十字路だった場所だ。本来なら自動車に轢かれている。が、今はある事情でそうはならないので暢気に間食を貪っていた。
 こちら側の小屋を抜けると、向こう側には曲がりくねったフェンスや監視塔やらが誰かさんの性格を反映するみたいに陳列している。こちらの施設がささやかなのは二人、と彼らに待たれているもう一人がここはあくまで国境線ではない、という方針を採っているからだ。
 ご苦労なこって、と思い監視塔の方向に親愛のポーズをとってみたせいか、先程から向こうの警戒兵の視線が痛い。しかも片方は自己主張の激しい米軍のジャケットを羽織っている。当然といえば当然である。


「正面衝突よりはましだけどさぁ、面倒だな! けどホットドッグが美味いのは認めるぞ!」
 むぐ、とホットドッグの最後の一口を胃に放り込んでアメリカは東を向いた。今そこは『向こう側』と呼ばれていて、容易に立ち入ることもできない。同じようにイギリスも空になったコーヒーのカップを弄りながら東側を向く。フランスナンバーをつけた外交官車は未だに帰ってこない。暇だから、言葉遊びでもするか。
「ここに来る度軍服なのはあてつけか?」
「呆けが始まったのかい? 此処が俺の管理区だからに決まってるだろう」
 そう言いながらイギリスはアメリカのオリーブドラブのジャケットの襟を引っ張る。中にはご丁寧にもモスグリーンの正服だ。
「悪趣味だな」
「君に言われたかないよ…」
 確かに此処はアメリカ管理下の検問所である。それにしたって、目の前のソ連兵を刺激することもないだろうに。イギリスは溜息をつく。ああでも、さっきのおふざけじゃあこいつに言えた立場でもないな。
 あぁ! もうホントに面倒だ! 何インチ砲なら穴が空くだろう! とうとうアメリカは両手で望遠鏡或いは砲身を作って左右に広がる壁に狙いをつけ始めた。監視兵の目が、本当に痛い。刺さるようだ。そしてその向こうに一台の車を見つける。
「うっせぇなぁ…来たぞ、おい髭!」
 イギリスがやんちゃな弟のお守りに飽き飽きしてきたところに待ち人は帰ってきた。検問所の横に車をつけ殊更優雅に降車。彼は今まで悪友に会いに行っていた。この壁を作って、すっかり引き篭もってしまった悪友にである。以前と比べるとその落差は驚くしかないほどのもので、流石に気味が悪くなって三人で様子を見に来たのだった。先程ここで戦車同士のにらみ合いをしたのは棚に上げてである。
「何か収穫は有ったかい?」
「おまえたちゃ麗しいご挨拶も出来ないのか? …収穫は無しだ。端的に言うとな。」
 フランスは呆れながらも両手を上げて降参の態度を示す。それに食って掛かったのはアメリカだ。
「ほんとに君は役にたたないね! 首根っこ引っ張って連れてくれば良いじゃないか!」
 戦う所負け知らずの若い大国は息巻くが、年長二人は触らぬ神に祟り無しと無視を決め込んだ。んなことしたら、バックのあいつが出てくるに決まってんじゃねーか。二人の目が如実にそう語っているのに気づきながら、アメリカもそれを無視することにした。年寄りは辛気臭い顔でもしてればいいよ、と目で返してやる。
「うるせ―、坊ちゃんどもじゃ会えもしねえよ。生存確認だけでもできたおにーさんを誰か誉めてくれよ!」
「お―偉い偉い、まだるっこしくて仕様がねえよ。」
 フランスは嘆く、が、イギリスはあからさまに嫌な顔をして息をつき、やっとそこで本題に入った。
「で、奴は?」
「相変わらず、だな。調子は東側にしちゃ良いみたいだ。ドイツの話すっと楽しそうにするんだが結局縮こまっちまって、ヴェストに顔向け出来ねぇって、さ。これがほんとにあの俺様かねぇ。」
 その俺様について欧州の二人には、特にフランスには思い起こされることがあった。百年前、ちょうど百年ほど前だ。あの男がヴェストと呼び可愛がっている弟を大国に仕立て上げたのは。更にもう百年遡れば、彼の大王が為政者だった時代である。時間と云うものは恐ろしいなと二人は思う。鉄血宰相が退陣してからあの兄弟は右往左往して二度とも大戦に負け、今の状態に収まった。今やあのロシアが世界の三分の一を率いているとは、以前には想像もしなかったことだ。
 冷たい戦争を象徴するこの場所に、三人は立っていた。
「ドンパチ始めねぇんなら構わねえよ。もうヴェトナムはごめんだ。」
 イギリスは心底嫌そうな顔をし、フランスは苦々しい顔をし、そしてアメリカは不機嫌そうに目を眇めた。あの地は呪われているとでもいう顔だ。
「君も充分悪趣味じゃないか…ジョンとリンドンのことだろ。」
「さあな。」
 剣呑な空気は三人を取り巻いて離れない。この件に関して弁明のしようもないフランスは話題を変えるためにあらん限りの努力をする。そこでもう一人の同行者が居ないことにやっと気が付いた。曲りなりにも客人である自分達三人をもてなしていた筈のドイツが見当たらない。どこ行ったんだ、あいつ。まぁ大体予想はつくけど。前にも何度かあったのだ、こういうことは。
「つか、待て。ドイツは?」
「また死者が出たらしい。献花買うって言ってそれきりだ。」
 一応訊いて、思ったとおりの返答が帰ってくる。この検問所の両翼に広がる壁があの兄弟を隔てているのだ。そしてそれは彼らが最も愛すべきものを死の危険へと追い立てる。辛いだろうか、辛いだろうな。兄弟で共食いをする様なものだ。
「そうか、…兄弟ってのは何でこう面倒なんだよ。」
 目の前の二人も、あの俺様と堅物も。そういや自分と傍で喚いてる眉毛も似たようなものか、ここまで拗れるともうお笑い種だけどな。そう思ってフランスは額に手を当てた。

 出来ることならば、馴染みの悪友もつい最近婚約紛いの条約を交わした堅物も傷つかずにこの長大な壁が取り払われますよう。この願いはもしかすると自分を挟んでスラングを喚き散らしている奴らに託すしかないのかと気付き、フランスは一際大きな溜息をついた。


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簡単に背後関係説明
・じぇいえふけい暗殺の一年後くらい。ヴぇとなむ戦争が本格化する一年前くらい。暗殺の首謀者はNo.2だったりんどん・じょんそんという噂も
・東西の壁は61年に出来ました。ぷが作りました。
・独仏は前年にえりぜ条約を結んでいます
・兄ちゃんがヴぇとなむで顔をしかめたのはいんどしな戦争のせい。ボロボロに負けました。
・ぷは東側でも東欧の日本、と言われ優等生でした。
・英は島のけると、仏は大陸のけるとの子供でふらんくさんの養子なのかなぁという妄想が含まれています。兄弟と云うより従兄弟くらい。

不親切ですいませんorz詳しいことはうぃきさんとかで…多分、あってるはず。
各国の態度は捏造に近いですが…要修行!

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