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幸せな話を、ひとつ

音日 全力で収拾がついてない

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ばたぼた、と藤色に光る泉からそれは湧き上がっていた。
とても、とても珍しいもので、そっと指先で触れるのも憚られてぎゅうと拳を握りこむ。
恐らく彼はこの手を待っているのだろう。そうとわかっていて、それでも触れたくないと思った。触れてしまえば、この光景にはもう二度とお目にかかれないだろう。
どうして彼がこうなってしまったのか、よくは覚えていない。というか、どれがきっかけになったのかがよくわからないのだ。多分自分の言動のうちどれかが、良い意味では琴線に触れ、悪い意味では彼の心の壁を打ち砕いてしまったのだろう。
彼は階段の高い方に座り込み、自分はその二段ほど下に片膝をついて彼を見上げている。両の手はどちらからも十分に届く位置だ。
ここは教室のある棟の、授業時間でなければ人通りのある階段だった。次のチャイムが鳴るまではざっと二十分、となればおそらくこの涙の寿命もその程度ということになる。それは酷く、惜しいと思われた。
沈黙が重いというわけではないが、恐らく彼は話したくはないだろう。きっと自分が聞いたことも無いような声を出してしまうだろうから。真っ白い懇願の、声を。時折しゃくりあげるのを我慢するように喉を詰まらせる音ばかりが静かな階段に響いて、その度にどっと雫がこぼれるのを何度も美しいと思った。

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