今しか上げられないかなって思ったものをひとつ。
といっても既に新型の読み切りにさえ反するんですが。
何てことない顔をしてもう一人がロックオンとして戻ってくる、そんな話。
というのを二話前に上げようとして失敗。まぁそんなこともある。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「…なぁ」
先程まで銃口を向けていたとは思えない柔らかさで、問うた。
「何だ?」
「本名呼んでみたいとか、思わないのか?」
「何故だ?」
刹那は酷く不思議そうな顔をする。笑顔(と言うには苦笑に近かったが、)と言いこの顔といい、今日はやけに珍しいものを見る。
「え、あ、あ―、そわそわしてんのおれだけか…」
駄目だ、これは。既に敗戦の予感。
「?…あんたはあんただ。ロックオンだ。違うのか?…ソランと、呼びたいのか?」
視線は真っ直ぐで、瞳は揺るがない。テラロッサの双眸は輝くことも濁ることもなく、ただ此方だけを視界に留めている。覚悟の強い瞳の姿だ。
それとは逆にロックオンの瞳は揺らいでいた。
この子供の真っ直ぐさには何時も驚くばかりだ。ばつが悪くなって髪を掻き回しながら顔を伏せる。
「いや、そう、だよな。刹那は刹那だ。…ん、何でもないよ。」
頭を撫でてやろう、と手を伸ばしたらかわされた。此の頃行動を読まれていると思うことが多い。
「変な顔だ。」
「だっ…お前が嬉しいこと言ってくれるから照れてんの!」
「照れると変な顔になるのか。」
「…そうだよ。」
そうだよ。おまえさんがさっきした顔だよ。まだ脳裏に残っている、あの顔。きっとこれからも忘れない。この子供の表情の中で一番幸せに近いそれ。
ああでも、おまえはあいつを見てもロックオン、って呼ぶんだろうな。
だから、おれは、
あいつと、姿かたちの同じものが目の前にいる。
「久し振り、刹那。」
ああ、そういうことか
「…ロックオン」
あの時の、あいつの顔は
「…?」
「ロックオン」
「おかえり」
「ただいま」
違う色が、こちらを見ている。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
おかえり、と先に言った刹那の勝ち。
この記事にトラックバックする